鳥の唄/佐野権太
鳥は
自由に羽ばたく姿こそ美しい
私如きが
その軽やかな踝(くるぶし)に絡みついて
ともに堕ちてはならない
いつか
大きな空になりたい
そんな、さよなら
相反する不確かな期待は
落日に置き去られた藍の淡雲
飛びたかったのは
私のほうだったのかもしれない
鳥籠を見つけると
つい、面影を探してしまう
どこかの止まり木で
首を傾げて探すメロディは
私の知らない、あるいは
なつかしい声を
聴かせて
弾けるように
笑って
急に
遠い目をして
あの空を歩いていたかったと
ただひとこと
上手く騙(だま)して
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