王女メリサ/atsuchan69
話すと、たちまちのうち森じゅうの動物たちや妖精、そして虫や草花たちへまで皆々に伝わりました。
魔女はきらびやかな金や銀をつかった特別な布でこしらえた外套を着、ときどき帽子が天井にあたるほど激しくゆれるのもさして気にせず、口をへの字にまげて噤んだまま膝の上には黒猫をのせキャビンの椅子に座っています。
そのうち魔女はついにこらえきれず、ちいさな窓からやっと顔を出すと大声で言いました。
「もっと早くおし! 生まれちまうじゃないか!」
従者は帽子をおさえてふりむき、
「箒でとんで行けばもっと早いですよ!」
泣きそうな顔でそう言うと、
「おだまり! 若造のぶんざいでほ
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