二十一世紀少年/大覚アキラ
のみぞおちに正拳突きを喰らわせ
ケータイで呼び出されたそいつらの知り合いのヤクザ者が現れ
いとも簡単にガムテープで拘束されたおれは
黒塗りのクラウンのトランクに放り込まれてしまい
どこかよく分からない場所に運ばれて行きながら
真っ暗なトランクの中で死の恐怖に怯えて
ガタガタ震えながら失禁してしまい
小便の匂いに満たされた暗闇の中で
おれは夢を見る
生まれたときから
今に至るまでの
数十年間の時間を
猛スピードで
反芻する
そんな
夢を見る
何も
映像を
映していない
プラズマテレビが
暗闇の中で
眩しいぐらいに
光を
放って
いる
いったいどこだろうここは
ああ
ここはおれの頭の中だったんだな
戻る 編 削 Point(10)