きぐるみ〜パパの呪文〜/なかがわひろか
 
パパはなんでもできる人だった
天使を悪魔に変えるなんて
朝飯前だったし
時には神様がパパに
アドバイスを求めに来たりもしていた

パパは最期の夜を迎えたときに
僕に優しくこう言った
結局何も変わらない
天使が悪魔になっても
神様が人の言うことを聞くようになっても
結局は同じなんだって

僕はまだ小さくて
何を言っているのかよく分からなかったし
これでパパとさよならだと言う事も
何にも分かっちゃいなかった

だけど僕はいつの間にか大人になって
多くの同年代の子たちがそうなように
いろいろなことに
急に気づきだしたんだ

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