パセリと手紙のある浮き島/hon
 
1. パセリと手紙

 晴れた日にディーディーは死んだ。
 さっきからぼくはパセリを見ている。人工的な見栄えのあざやかに澄んだ緑色のパセリを。銀色のスプーンを脇に押しのけた。とりあえず何も考えていなかった。
 テーブルの上には白い封筒が変にうやうやしく置いてあって、この部屋の調和の中から浮き上がった、そぐわしくない空気をまとっていた。それは無作為な風に吹き流されて、開かれた部屋の窓を通って、ただ偶然に漂着してきたようにもみえた。実際、窓は開かれていて、その外は海だった。目をやるとどこまでも浅い海が遠くまで広がっていて、ずっと果てのほうで、淡く消失しつつある水平線と海とが、緑やらピンクといっ
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