象徴の場所/なかがわひろか
鳥たちのあざ笑うさえずり
何かの象徴のように
そこにいるしかない僕を笑う
鳥たちは羽ばたく
そしてまた明日には戻って来るだろう
いつまでもそこにいる僕を
また笑いに来るだろう
鳥たちは自由
いつまでも自由に
僕をあざ笑う
ねえ母さん
あの人はまだいつまでも同じ格好で
僕等を見上げているよ
坊や
あいつはわたしたちが羨ましくて
仕方がないのよ
どうぞ笑っておやりなさい
どうぞ蔑んでやりなさい
鳥たちのあざ笑うさえずりが
耳を揺らす
鳥たちは自由
また明日もここに来る
僕はまた
明日も
ずっと
ここにいるだけ
(「象徴の場所」)
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