日記/んなこたーない
 
水色の
セーターを着て 姉は
蛛形類の姿態

冬期臨時急行列車は
ぼくらを冷凍魚にする



シガレットの灰
つぶれたチューブ
青と赤だけの平行線

海の見渡せる階段が
一日に一段ずつ 浸水されて
やがて少年の体を飲み込むころ

ここではみんな 苦い笑い顔をする



紙飛行機の墜落に
やがて狙撃手の翻る旗
こうして
バスルームのなかでは雪が降り
わたしの愛とわたしたちの愛は終わりを告げた



送風機ばかりの室内は
ゼラチンみたいな恋人のハンカチ
それでは おお
これがぼくの絶望だろうか

チョコレートみたいにおし黙ったまま
ぼくはわずかに前傾する
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