シャドー・ワーク(Shadow Work)/んなこたーない
 


あるいは、街路は生の筋肉でできていて、痙攣し、伸縮し、ときに切断される。
嚥下はできない、嘔吐もできない。力強く押し寄せてくる、騎士道精神のなれの果て。

笑おうと思えば、いつでも笑える。泣こうと思えば、いくらでも泣ける。
ニコチンとカフェインの混合物。すなわち君は表情を変えずに監視をつづける。

そこで時計を見上げている、白痴の青年メルヴィルよ。ぼくもまたタイピーである。
もういい加減眠るよ、ぼくは。バイバイ、25歳の腹痛は哲学でないと知れ。

自分の名前が呼ばれた気がして、君は目を見開く。振り返ることなどできやしない。
またしても疑惑はセンチメンタルに遮断される。招待状が届かないからには……、と。

薔薇が燃える。――溶ける花びらは血のようであり、
触れてみても、それは熱も匂いもなく、ただのび拡がってゆくばかりである。
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