彩る証/なかがわひろか
キッチンの窓の向こう側から
太陽が大げさに光を射す
生まれた時から
寝たきりのお前
唯一お前の側にいる等身大の影も
最早その成長を止めた
ああ太陽はまぶしいな
ああ太陽は終わらない
濃くなるだけの影
本当は動き出したくてうずうずしている
ママのつぶやきに涙が零れる
水滴は鼓膜に迫る
誰も気づかない
影は笑っているか
影も泣いているか
今日も消えていくだけの影
結局今日も動けない影は
泣いているか
笑っているか
ああ夜は黒いな
ああ夜は怖いな
明と暗
単調な彩りだけが
生きる証
(「彩る証」)
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