無知/純太
女なれば
柔頬を航路する濁点の嬉し悲しは
夜空に浮く月の肌をなぞる想い
男なれば
砂漠に自慢のカルテを撒き
参り舞うその蒸気ゆえ
消え浮きて触れてくる音は母の心音
それはそれとして それから
僕は
大切な人が教えてくれる
マヨネーズ仕掛けの野菜を食べてきた
しかし野菜きりの素朴さを
今だ大切な人は教えてくれない
実は言わないのかも
大切なことを言わないことは無知であると
教えてくれたのは
友達の最後の涙だった
コンビニで
温めますかと聞かれて
刺すような
凍えさせるような
熱いのか冷たいのか
わからない食べ物になることを知ってて
お願いしますと応えてしまう僕は
僕の無知も知らなければいけない
これじゃ
いつか僕の子供は
人を平気でいじめそうだ
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