空の巣/水町綜助
 
らだ中が自分のものではないように感じられた。
頭痛がまた激しく鳴り響いた。
それはしばらく鳴り止まなかった。
心臓の鼓動がそれに同調する。
息が詰まる。
頭を抱えようと、腕をあげた瞬間、頭痛は遠く木霊しはじめ、どんどん小さくなっていった。
すべての認識は曖昧になった。
記憶が渦巻き、識別はその垣根を無くした。
それらが溶け合ってうねり、怒濤のように炸裂して、次の瞬間空白になった。
そして、その静まりきった頭の中に、あの空の上に作られたもぬけの空の蜂の巣だけがくっきりと浮かび上がった。

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