タンポポ・ドロップス/ブルース瀬戸内
いまでも花を咲かせることができる。
それが本当に運がいいことかどうかも
実は分からないでいる。
ふわっ、ふわふわっ。
綿毛になって一週間になる。
私は地面に近づく。土の匂いに包まれる。
私は着実に何かをこなしているのだろうか。
着実とはなんだろうか。
それだってよく分からない。
意味の、つけ方が分からない。
私は綿毛だ。それは確実だ。
私は地面に着地する。
なんだか疲れてしまって
私はすべての意味を抱いて眠ってしまった。
二週間後、私はタンポポになった。
大輪とはいかないが、花を咲かせた。
えもいわれぬ気持ちだ。
幸せなのだろうか、不幸せなのだろうか。
私は、朝露にまぎれて涙を流した。
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