恋文/青の詩人
 
お方はそれほどにやんごとなき御身分ですものね

青き君よ 
けれど どうしてもわかっていただきたいのです
君にしか恋できない 私のこの思ひを
あのお方が決して君に恋なさることはないことを
どうか思い違いなさらぬように
君のまわりをまわっているのはこの私だけなのです
赤き彼女には決して それがおできにならないのです
君からは私たち二人とも君に恋しているようにお見えになるかもしれませんが
それは君の幻なのです
陽の彼女は誰にもその御心を揺るがしなさることはありません
君に恋することができるのは陰の私だけなのです





青き君に恋することができるのは月だけなのです



時は平成の世 神無月九日

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