二月一日 自由/水町綜助
心の中に一つの頑健で豪奢な台座をこしらえてある
それはいつ頃造ったものか忘れてしまったが
確かなことはその台座は心の中のどこよりも高くに設置したもので
僕という人間は多聞に洩れずあまねく不浄を混ぜ込んだ破断したパレットで
台座はその色の絨毯から一直線に天に向かって屹立している唯一の
外に向かって誇示されている生殖器ということ
人生史上最高の味だ
と多方面から絶賛されていたカレーライスを食べに行った
確かにうまかったが実際それほどでもなかった
店を出てきみに同意を求めるでもなくそう呟くと
曇ったガラスが嵌め込まれたド
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)