こどんのかげ/ねなぎ
 
躍的に求めて冗長化された

当時の建設に関った人間の
殆どが土地を追われ
過疎化と高齢化が進み
目新しい産業も無い
この土地柄では
口に上るはおろか
記憶にすら
形骸を留めていないのだった

駅の中は
全ての面が曲線で居て
直線に近く
反射かと思えば
回折するように
ホームが
原色に塗りたくられて
染み出して来た
油のような海水に
酸化されるように
黒く侵され
それが更なる色を深め
べとべととして
平衡感覚が失くされ
記憶が判別としない
それは出口の無い
夢が
何が本当だ

海から追い出された
魚は
陸で
傷みながら
それでも

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