こどんのかげ/ねなぎ
私が見たのは
私の父だった
茫洋として
判別も無く
偲べずに
空気中の酸素濃度と
水中の酸素濃度が違うように
細胞の一つ一つが違う事でしょう
しかし
それは配列の組み換えにしか過ぎません
その組み換えは
今でこそは確定してしまっていますが
長い年月の間をかけて
変化とも変容ともされるように
慣れてきたとしか言いようがありません
落ち果てぬ
逆に
未だ暗く
その他が淘汰されたと言う考えも出来ます
変化は突然で有り
緩慢であり
確定して発散する記憶です
全ては緩やかに
そして穏やかに
時が
ゆるりと流れていくのですから
かつて
そこにあったはずの駅から
四時五十分発の汽車に乗ったのは
私の父だった
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