あの子その子/ススメ
 




小高い山の社にて
夜の高速道路の唸り声は
木々を通る風になり
無音が聞こえてくるだけです
いつか寝そべった石畳に
今日はあの子が跳ねています
だけど無音が聞こえます
ここはそういう場所だから
怖かった隅っこには
今日もその子が正座しています
だけど擬音が聞こえます
ここはそういう場所なのだから
古文書の月の絵ののように
空をくりぬく兎が見ています
あの子をその子を私を
だから消音です
聞かれたくないから
そして教えて欲しくないから
あの子がその子が
何を口ずさんでいるのかを

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