霧の夜/結城 森士
 
何故を反芻しながら
白湯の雨が打ち付け
通りの薄暗い道を疾走する

かぼそい蛍光灯の壊れた光も
消えた僕を無意識に投影する

細い視界の先の
見えない光を見据えながら
失踪する



僕の通り過ぎたこの夜は白湯の雨に滲みていく
煙のように消えかけているんだ

信号が赤を主張し、遮断機が降りようとも
僕の赤い目には見える筈も無い
光の波長は同化している「僕もそう思うよ」

そんなにどうかしている?



来る日も来る日も僕は疾走する
貴方が僕に感情を残したのなら
僕はそれを受け取るから
僕の感情は全て捨ててしまって構わない
幻は消えるべきの意識で
僕は失踪する

何度も想像を繰り返した筈の叫び声は
小さく細切れ、ただ白湯の雨に染みて
煙と共に失踪する


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