もうひとつの空/Rin.
つの空に夜はない
抜けるようなあおの空にのせても
星は見えないものだから
詞が途中で切れてしまって
未完の歌は眠りに消えた
まどろみのなかで誰かが言った
もうひとつの空には夜がある
夜の色にはきっと
その星が映える
夜が巡るということは
老いるということ
おまえの星の色や形が知りたいのならば
旅立つ歌を歌うがいい
自分の中で一番輝けるもの
少女はその歌をささげるために
もうひとつの空を歌った
いつしか少女は少女ではなくなり
夜空に浮かべた星に
名前をつけた
私しか知らない
たったひとつの名前―――
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