もうひとつの空/Rin.
 
つの空に夜はない
抜けるようなあおの空にのせても
星は見えないものだから
詞が途中で切れてしまって
未完の歌は眠りに消えた


まどろみのなかで誰かが言った
もうひとつの空には夜がある
夜の色にはきっと
その星が映える
夜が巡るということは
老いるということ
おまえの星の色や形が知りたいのならば
旅立つ歌を歌うがいい

自分の中で一番輝けるもの

少女はその歌をささげるために
もうひとつの空を歌った

いつしか少女は少女ではなくなり

夜空に浮かべた星に
名前をつけた

  私しか知らない
     たったひとつの名前―――



戻る   Point(24)