赤い観覧車/青の詩人
 
排気ガスの悪臭  
汚れた空気に濁った瞳
耳障りな音に疲れた肩の群れ
誰もが視線を外し足早に歩く街

駅と駅をつなぐ橋の終わりのほう
突然現れた赤い観覧車

もしも足を止めなかったならば
それが回っていることに気づかなかっただろう
けたたたたたたましく 
せわわわわわわしなく
進んでいくこの街の中で
そこだけ時がゆっくりと流れている

ほとんどの人はそれが動いていることを知らない
彼らにとってそれはもう終わってしまった恋なのだ

恋に足を止めた僕だけど 
箱の中のステップへと足を踏み入れたことはない
恋に気づいた僕だけど 
まだその観覧車に乗りこんだことは
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