三人の女/なかがわひろか
 

それでも次の生を宿し、女を捨てる
嗚呼なんと美しき母の愛
やがて生まれ行く者にキスを

吐いて捨てるほどの数ある雄の中で
貴方を見つけたのは
猛々しさ、否
宇宙に見捨てられた
その顔が
なんだか
とても
愛おしかったから

私は女を捨て母となりまた永劫の命を紡ぐ
いずれ私たちの子がきれいな血を混ぜ
豊かに育ってくれるのを
そっと祈って
そっと願って
老婆となり、老爺となり
腐臭が漂っても
またあの頃のように
優しく
嘲笑ってください

(「愛のメロディー」)


【三女】


左端の女が言う
[次のページ]
戻る   Point(2)