稲妻/
南 翔
おしくて
吐息がひとつ またひとつ漏れて
涙腺がゆるみ始める頃には
酔いが 酔いを誘うて
あゝ 此の甘美なものが心地よい と呟く
戦慄に憂鬱を絡ませ そして悲哀を融かしては
限り無く病的な 夢幻の華を孤独の裡に咲かして
あゝ この割がたきものが捨てがたい と呟く
そうして 切ない舞いが 慎ましく開かれ
切ない詩が 耐え忍びて 静かに綴られる
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