無為自然、苦しみて、苦しむことなく。/生田 稔
 
になって、殺しあう人が一人もいなくなるまで、私は生きてその結末や結果を見るまでは、私は決して死なない。ただただそう思うだけだ。
 このようなことを言うのは気がひけるのだが、今人々はすべて天国に入っているという人々がいるのだ。先頃私は「遅れてきた少年の一切合財」という詩の形を取ったリポートを書いた。そして、それを診察を受けている病院のカウンセラーをしてくださっている女性心理学師の方に手渡しておいた。それは九州八幡市で生まれてから三十三歳で神に会うまでの手短な記録文である。この記録には書いておいて良いと思われることだけを書いておいた。書いては差しさわりがあり、良俗に反するようなことさえある。
 もうこれでよい。これ以上書いても無駄である。人々は天国に入っており、私も入らねばならない。神が私に親切をしてくださることを切に望みつつ、掴筆さしていただく。
二千二年十月十日午後二時四十分。
 
 

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