浮遊する夢の形状    デッサン/前田ふむふむ
 

限りなく点を標榜して。

いや、はたして、窓などはあったのだろうか。

仄暗い闇のなかで、わたしは、痩せた視線で、
忘れたものを、いつまでも眺めている。
      眠っている静物たちを眺めて、
      灯りが弱々しく沈んでいくと、
      眠っている鏡台の奥ゆきから覗く、
寂しい自画像がうつむく。

茫漠と、時をやり過ごし、
時計の秒針が崩れるように、不毛が溶けだすとき、
微候を浮かべる冷気にそそがれて、
燦燦とした文字で埋めたひかりが、
硬直して、延びきった足のつま先に、顔を出す。
わたしのうつむく眼は、輝くみずに洗われている。

       やがて、訪れるはじまりは、
ふたたび、夢の形状をして――。





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