Nobember Tales./芳賀梨花子
 
素晴らしさが
罪というのならば
私は罪人でかまわない



「白樺の林を猛スピードで駆け抜けていく想いと
突然、広がる荒野に戸惑う馬の」


愛している愛していると叫びながら
脇腹を蹴る拍車が
息遣いとなり
早馬が飛び
魂が駆け抜ける
丘を越え林をぬけて
貴方に魂を捧げ尽くして
私の身体は
ついに荒野に放たれた
悲しみの伝令が響き渡る荒野へと
その日から
私はリュタンの姿を借りたシュラート
悲しみがなにかさえ忘れ
もはや叫ぶものでしかなく
呼ぶものでしかなく



「魚達が深い海に愛を求めるように」


静かに眠ることができるのなら

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