かしらもじ/なかがわひろか
 
けが全て



   【ウ段】



うがい薬で目を洗え
屈服する姿それもよし
巣窟の中で見たものは
爪を噛んだあんたの娘
濡れた頬濡れた股
踏み散らかしたあんたの欲
無邪気という尖る武器
緩めるベルト晒すモノ
瑠璃色?そんなきれいなもんじゃない
嬉し泣きまあそれもいいさ



   【エ段】



抉る指
毛が絡む
切ないよがり
手を伸ばし
ねんごろの果て
変態窒息
目隠し鬼さん恥辱に舞う
鉛筆の芯
憐憫の花を描く
絵描きの痴態



   【オ段】



雄雌醜い性と生
子を身篭ったが最後
外面だけの対面
鳥が運んできたただのモノ
呑気な泣き声
炎の中に突き落とす
もらい泣き
よがるお前
狼狽する親
をかしをかしと嘲笑せん



(「かしらもじ」)






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