Starbow/佐々宝砂
 
 date 2242/08/21
DOCUMENT. 星虹の記憶のために

 まだわずかに時間があるとおまえが言うから、俺はこれを書いている。
 
 スタァボウが、あんなに美しいものだとは知らなかった。
 おまえがこっそり詩を書いていることも俺は知らなかった。
 さすがに一万を超える詩作は読み切れないけれどいくつかは読んだよ。

 そういえばおまえは地球にいたころも詩が好きだった、
 ミストラルという女流詩人が好きだとも言っていた。
 おまえはいつも優しかった、
 美しいものを独り占めにしておくようなたちではなかった。

 おまえがこの文書を認識するとき俺は死ぬだろう。
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