Starbow/佐々宝砂
余ってるメモリで計算してみるのは簡単
どうせこんな詩作ってみるほどヒマなんだから
前方の光はごくゆっくりと色彩を変えてゆく
赤方に偏倚し紫方に偏倚し
赤外線もあなたに見える光となって
わたしは虚空にラムの腕を広げる
もうすこし水素がほしい
もうすこしもうすこしだけ
わたしに余分なエネルギーがほしい
ねえ わたしの眠れるアストロノートさん
あの虹が消える前にきっとあなたを起こしてあげる
あなたにあの虹を見せてあげる
ちょっとエネルギー・ロスだけど
でも心配しないで
わたしはあなたを滞りなく運んでゆくから
あの遠い空の向こう
円形にねじ曲げられ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)