散歩/yoshi
 
西からの陽射しにビルの陰が真っ直ぐに伸びている

その影を踏まないようにして歩いた

最近はすぐに闇が迫ってくるから

その闇から逃げるように少し早足で歩く

昨日のあなたの言葉を反芻しながら


耳から聞こえる心地よいはずの曲が

心に響かないから

また泣きそうになった


やがて闇が来て私たちを真っ暗闇に突き落とす

街灯の灯りをたよりに

今度は歩を緩めた

そしてまた

昨日のあなたの表情を思い出す

耳からは変わらず大好きな曲が流れる

でもやっぱり

心に響かない


忘れたい過去を

忘れた事にして

歩んでいけるなら

私はきっともっと強い女になれるだろう

あなたの言葉を

丁寧に拾い集める事をやめたら

どんなにか楽になるだろう


だけど私は

そのどちらもきっと

やめる事は出来ないから

こうやって時々

闇を歩くんだ

心に響かなくとも

大好きな曲を大きな音で聴きながら



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