マテリアル・グランドツアー/カンチェルスキス
 

 腰を振るかのように
 野良猫は眠ってる
 雨の日の猫はとろんとして甘いが
 晴れの日の猫はとりつくしまもない
 野良猫を燃やせば
 野良猫が燃えるだけだ




 そしてまた違う団地に
 同じような路上駐車で
 ダークスーツの何気ないおっさんはここにはいない
 おまえんとこのテレビの音は
 やたらとでかすぎる
 はぐれ刑事の声が聞こえまくりだ
 草むらの横を通れば
 ひそんでいた野良猫が
 盗人みたいに逃げる
 どうせなら居直れ
 おれはおまえに木綿豆腐ぶつけるぞ
 ひさしぶりに
 乾いたアスファルトだ
 不吉な予感は一切なしだが
 それも勘
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