マテリアル・グランドツアー/カンチェルスキス
で
腰を振るかのように
野良猫は眠ってる
雨の日の猫はとろんとして甘いが
晴れの日の猫はとりつくしまもない
野良猫を燃やせば
野良猫が燃えるだけだ
そしてまた違う団地に
同じような路上駐車で
ダークスーツの何気ないおっさんはここにはいない
おまえんとこのテレビの音は
やたらとでかすぎる
はぐれ刑事の声が聞こえまくりだ
草むらの横を通れば
ひそんでいた野良猫が
盗人みたいに逃げる
どうせなら居直れ
おれはおまえに木綿豆腐ぶつけるぞ
ひさしぶりに
乾いたアスファルトだ
不吉な予感は一切なしだが
それも勘
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)