流れゆく都市の色/結城 森士
地下鉄の人々
無数の足が階段を昇る音
振動する灰色のアスファルトが剥き出しの壁
銀色の車体の煙草臭い車内
黄色い線の上の電光掲示板に
白くぼんやり浮かぶ駅名が繰り返される
無機質のアナウンス
地上の地下
機械音と鉄の唸り声
生暖かい突風が人々の無数の足を吹き抜け
女、男、子供、背広、皆、黒い影を引き連れ
冷たい車輪と冷たいレールが錆びた音を響かせ
トンネルの向こうの暗い闇から無機質な光が現われ
目を合わせない人々の群れ
彼らは皆何処かへ行く
何処かへ行こうとしている
虚ろな目で、俺は座席の
投げ出されている女の、白い足を
(白い脚)
円柱のホー
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