あの夏のころなら。/
恭二
願っても、願っても、
形がなくて。
訴えても、訴えても、
不器用なだけで。
頑張っても、頑張っても、
見返りがなくて。
でも、
あつくて、あつくて、飲んだ校庭の蛇口の水は、
何よりも美味しかった。
透明だった。
あのころの僕なら、
もっと、単純に愛せたと思うのに。
あなたを。
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