太陽君と雪の子/愛心
た。
「太陽君。消えるんじゃないんだよ。
お空の雲に変わるだけなんだよ」
「でも僕は、君に雲になって欲しくない」
雪の子は少し悩んでいましたが
思いついたように太陽君に抱きつきました。
「なっ、なに?!」
「ぎゅーなら消えないんだよ」
「ホント?」
「本当」
太陽君は安心して、雪の子を抱きしめました。
『あれ?寝ちゃったのかな』
太陽君が起き上がると、雪の子はいなくなっていました。
!?
太陽君はもしやと空に昇ると
雲の塊を見ました。
「いた」
雪の子が可愛い寝顔で、塊の一部になっていました。
太陽君は愕然とした表情で、しばらく塊を見つめていました。
「わかってたんだね。ありがとう。またね」
太陽君は泣きながらも
雪の子の頬に、優しくキスをしました。
太陽君が帰ろうとすると、雪の子の声で
嘘ついてごめんね。またね
と言う、優しい声が聞こえました。
太陽君は振り向くと、ゆっくり手を振りました。
またね。
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