烽火/1486 106
 
高崎駅のロータリーで
道に迷っているおじさんがいた
丁寧に地図を書いてあげたら
お礼一つ言わず走り去っていった

駒形へ向かう電車の中で
携帯で話すおばさんがいた
勇気を出して注意したら
年下のくせに生意気だと言われた

そうやって純粋な若者達が
また一人踏みにじられていく

間違いだらけの世の中では
間違える事が正解になるのか
忘れているかもしれないけど
子どもは大人の背中を見ている

危ないからと外で遊ばせず
夕飯はコンビニ弁当で済ます
そういう孤独な私生活の中で
コミュニケーション能力を培えと言う

塾や学校が教えているのは結局
決められた語彙
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