最初で最後の握手。。。(改訂版)/Lily of the valley
ておいで。』と言ってくれた。
瞬間、都合の良い夢でも見ているのかと思った。
人に触れられることを嫌がる先生が、自分からボクに触れてくれたのは、これが初めてだったから。
でも、この手のぬくもりは本物っぽくて、思わず泣きそうになったけど、泣かなかった。
今ここでボクが泣いたら、先生に泣き顔しか思い出してもらえないと思ったから。
精一杯の勇気で、いつものように笑って、『手紙、書いても良い?』と聞くと、何も言わず、ただ笑い返してくれた。
いつものように嫌味を含んだ笑い方ではなく、どこと無く、ボクの心は落ち着いた。
先生は、ほんの少しぎゅっと力を込めて手を握り、ボクの手を離した。
最後に、『
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