はじめまして/十
初めて手を繋いだ日を
覚えている
これは内緒だよ
おまえを初めて抱いた日を覚えている
僕の眼を誰かにあげたいぐらい
全部が全部綺麗に見えた
このままずっと永遠に生きていられるなら
おまえの母と
おまえと
僕だけ残して
世界中の人達が死んでしまっても
いいと思った
あれほど生きたいと願ったのは
17歳の春以来だったかな
僕はあれから
おまえの為に
どれくらい生きただろうか
おまえを初めて抱いた日を
あの綺麗な朝を
覚えている
あの朝
おまえの為なら死ねると思った
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