正孔/ねなぎ
たのだろう
水が飛び散って
近くの竹に泥が跳ね上がっていた
水溜りは濁ったまま
音も無く静かに引き始めていた
数分の後には
底は柔らかな濡れた土地になった
歩いて見たが
やはり抜かるんだ場所でしかなく
僅かに水が染み出しているだけだった
それっきり竹林の何処にも
水溜りを見なくなった
その後すぐに
竹の花が一斉に咲き
竹林が枯れてしまったので
畑も辞めて土地も手放した
そして
近くの工場に働きに出る事になった
そして
工場の部品に
発光ダイオードを見る度に
竹を捨てた水溜りが
雉を運んでいる事を
思っている
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