サトリのことは考えちゃいけない/佐々宝砂
うと思う。なんか違う。わからないけど考えてはいけない。走る。地上に出て、レストランの前に出る、一階には明かりがついてるけれど二階は真っ暗だ。親子連れはいるのかいないのかわからない、人混みがすごい。
人混みのなかからふいと一人の女性がでてくる、クローズアップされる。美人ではないと思う。僕より年上だと思う。でも綺麗だ。綺麗な人だ。えび茶の小花模様のワンピース。彼女の僕の腕をとる、僕よりすこし背が高い。僕のおでこにキスをする、軽く。「さあでかけましょ、デートするのでしょう? 忘れちゃった?」彼女が言う、そうだデートするんだった。外から直接レストランの二階に通じる階段を登って、ドアをあける、明かりが
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