アザレア/フユキヱリカ
 
と、指を絡ませ
やがて
少女は歩道側へ
庇われて歩くことを知った


花言葉は
あなたに愛されて幸せ
ねぇ
今度までには
彼を紹介してもいいかな


アパートの窓から
積もりそうな淡雪を眺めた
明かりは消したまま
りょうてのひらをひろげたくらいの
浴槽に浸って
たまにはわたしから
あなたの背中を抱きしめると
ああ、守られている感じがするねと
重心を傾ける

二年経ったら
もっと広い部屋に越そう
とあなたは言うけれど
このバスタブに
タプタプとお湯をはって
脚を伸ばしきれないくらいで
今はちょうどいい

立ち上る湯気の中
わたしたちは
ついばむような約束をして
実を結んだ




「二十二になるによせて」
戻る   Point(13)