恋あるいは衰弱について/吉田ぐんじょう
年明けからこっち
どうも調子がよろしくない
いったん種子から出たやわらかな芽が
地上の冷気を恐れて
土の中でぐずぐず躊躇うような感じで
段々衰弱してきたのである
それは君に逢わなかったから
と云うよりも多分
君に逢ってしまったからだと思う
小動物のように弱くなって
守られたがっているのだと思う
だけどそれはわざとではなくて
何と云うか本能的なものなので
どうしても止め処がなくて困っている
朝
君から着信したメールは
意味がわからなかった
日本語が書いてあるのだけど
わたしじゃない人の名前ではじまっていた
返信はしてないけど一応
保護はしてある
送信
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