みちゆき/フユナ
 
おおきなけだもの
お前に会うのは
もうずいぶん久しぶりだ
お前と会うときは
これで仕舞いだといつも思うが
どうやら出会ってしまったな
どうだ
ひとつ


おおきなけだもの
おれはお前と会うときに
いつもお前の姿を正しく形容しようと
そう思っているのを
お前は知っているか
今日のお前は
秋雨の黒い道にへばりついた
あの、まだらに赤い葉のようだよ
濡れて
どこか淫靡だよ
ああ、だがまだ足りない


おおきなけだもの、
お前は何を喰ってきたのだ
そんなに
水のような血で口のまわりを汚して
美味かったのか
美味かったのならば
いつも、一欠片残す癖を
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