あいラブユー通信/森田拓也
 
 花は見たい人のために
   いつでも存在する。

      ──アンリ・マティス








屋上に猫駆けあがり夏の空

撃ち合ひに父も子もなし水鉄砲

水鉄砲叱る声消す笑ひ声

雷に仔犬の悲鳴風呂場より

沈黙に冷汗ながれ夏の嘘

夏きざし野良猫あるく塀の上

羽蟻や買ひ物メモにキンチョール

マシュマロマン現れさうな夏の雲

夏料理薄粥に差す薄みどり

いたづらに子が雷を落とされて

けのぬけたラムネと僕はどこか似て

夏雲よぼくを何処かに連れてゆけ


戻る   Point(7)