愛の季節の黄昏/杉原詠二(黒髪)
空が黄昏色に染まっていくころ
家の中では静かな夕飯の支度が行われる
爪の先まで感じられる冷気は
頬の熱を冷まして
心の形を確かめさせる
わたしの心は
目に映るものの形をしている
全ての対象こそが
心の擬する形だ
冷たい空気は爽やかなにおいがして
さらに肺を喜ばせる
感じている私は
人の形をしており
草木の沈黙を
静かな呼吸があるとして見ている
住し続けた過去の
愛別離苦を裏切るならば
天と地は鳴動し
喜びの雷が
目の前の木の上に落ちるだろう
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