行く道/杉原詠二(黒髪)
 
恐れもなく
行く道は
どこまでも続く

いつか来た道
またゆく道
汗がにじむ
生きている

峠を越えて
行かねばならぬ
それが生きるということ
へこたれてはたどり着けぬ

恐れもなく
行く道は
どこへ行くかというと
何処かへ行くのだ

風が逆巻き
笹葉を揺らす
空は消え去り
何かが起こる

みなが
何かが起こるのを待っていた
起こらねば続くだけ
永遠に苦が続くだけ
喜びにいっとき心を満たしても
虚しい
だから歩いた

何かが起ころうとしている

風の行く先に鳥がある
鳥の存在は鳴き声でわかる
失った空が回復して
わたしに向けて風が吹く
辺り一帯は
今までいたのとまったく違う場所に見える
戻る   Point(0)