潮風/たもつ
 


音は耳で知った
花瓶通りに
新たに設置された官邸にも
都心では珍しい潮風が吹いた
一時、この界隈では
強盗遊びが流行った
悪いことをしないで
誰が一番強盗か、がルール
けれど看護学校の学生に
大統領の秘密がばれて
規制されることとなった
以来ランチは静かになった
青焼された鳥の設計図は
空を忘れている間に
空にその名を
忘れられてしまう
いつからか
当たり前のように
人は人を愛した



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