エントランス/ミナト 螢
もうすぐ冬が来て
冷たい空気が肺の中に
幾つも部屋を作る
秘密を抱えたような
答えを出さないような
そんな曖昧なままの熱が
何故か心地よくて
目覚めた朝に頬擦りをした
靴下みたいに
入り口が分かりやすかったら
いつも迷わずに歩けるのに
暗いようで明るい場所を
ずっと探している
心が痛む理由を
言わなくても良いから持っていて
それが重たくなったら
枕にして夢を見て
希望と絶望の間で
行ったり来たりする
日常だから
この部屋のカーテンを
何色にするのか悩んだり
人の存在を感じた時
少しずつ幸せを取り戻せるから
怖い事なんて無いよ
この部屋から出て
あの部屋に帰ろう
それは同じ心の中で
迷いながら決めた約束
揺れながら込めた願い
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