待合/栗栖真理亜
 
落ち着いた間接照明のオレンジが
不揃いな五角形の長テーブルとその面に合わせて
それぞれ綺麗に並べられた籐のイスに降りかかる
軽快に流れるジャズの調べ
ケニー・ドーハムが奏でる「ママシータ」という曲
トランペットの音色が心地よい
私はゆったりとした気分で濃いめの珈琲を啜る
曲はこれまた軽快な曲調であるデクスター・ゴードンの
「スクラップル・フロム・ジ・アップル」に変わった
じっと耳を傾け瞑想する

まだ誰も座らない席に私だけでいると
まるで私が小さな子供となって一人取り残されているような
それでいて寂しさなどは微塵も感じない
穏やかな波間に漂いながら私は瞼を閉じる
曲は
[次のページ]
戻る   Point(1)