Liar/guest
 
牙を剥いた猫のように
腹を見せた猫のように
状態にしか喜びを見出せないなら
私達はきっといつまでも
楽園には辿り着けない

君に映った私の中にしか見えない
私に映った君にも見ようがない
川面に流す本当の自分の姿
きらきらと零れていく絶望とその果ての
喩えようのない幸福が溢れる

いつまでも変わらないで欲しいと願うような
幸せを見たことがない
ずっと続いていて欲しいと願うような
平和を見たことがない
変わり続けることでしか救われない世界だけを知っている

鴉はきっと朝焼けを見るのだろう
雀はきっと朝餉を笑うのだろう
燕はきっと営巣に夢を描くだろうし
鳩はきっ
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