業火/みぎめ ひだりめ
 
柔らかな石が降っている
濡れた空気が呼吸する
むろんだ朝日が土を踏むように
おまえは優しく燃えている

穏やかな顔が溶けている
暗い木陰がただ揺れる
首が上擦っている
うだったいのちが燃えている

うつくしい石が降っている
胸がひかっている
足がもつれて声が漏れる
蒼鉛に染まる掬水が
奥の暗闇で燃えている
戻る   Point(3)