わんすもあ、よひのくち/ひだかたけし
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右に探る
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからずに
からのからっぽ
だったはずの
空間は
次第にそれ自体の
存在を漲らせ
だらんと開いていた
意識の手のひらを
今一度 握り締め
させるから
空を
掻き混ぜてみれば
確かな感触の内に
その力動を伝え来て
粘りつきながら
うごめくうごめき
存在する
はずのグラスを
崩し呑み込み
ながらも
ひたすら
濃密な在る
育んで育みて
時の沈黙に
誘われ
横殴りの
雪のように
ひたぶる
降り積もり
降り注ぎ続け
全てが微分化され加速する宵の口を
絶えず積分し拡がりいく、私を担う空の意識
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